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中山神社にまつわる河童伝説

門川町に中山神社という大変古い神社があります。ここの神官を金丸氏といいましたが、その一党に金丸某という非常に強い武士がいました。この武士は大きな刀を差して歩きましたが、その豪勇は日向の国中に名高く、誰知らぬものもいない豪傑でした。ある日、この金丸氏が一人で村を歩いていますと、川の土橋の下で一匹の河童がシクシクと泣いていました。金丸は河童に向かって「一体どうしたのか」と尋ねました。すると河童が申しますには「私には子供がたくさんおりましたが、毎晩真夜中になると近くに住む大蛇がやってきて、私の子を一匹づつ飲んで帰ります。こうして私の子はもうあと一匹しか残っていませんが、この子も今夜大蛇に飲まれてしまいますと、私には子供は無くなってしまうのです。それでどうしたらよいかと悲しくて泣いていたところです。幸い金丸様にお会いしましたから、どうか貴方の力であの恐ろしい大蛇を退治して、私の子を助けてくださいませんか。金丸様どうぞお願いします。」といってしきりに頼みます。金丸も聞いてみると河童がかわいそうに思いましたので、「よしそれじゃ、その大蛇を退治してやろう。だがその大蛇は何処にいるのか」と尋ねました。河童は「いえ、大蛇は毎晩、真夜中にここにやってきます」と答えました。「それじゃわかった」と金丸は引き受けて、夜になると支度をして、大きな刀を差して土橋の下に行きました。そして大蛇が出てくるのを待ちました。やがて、夜が更けて真夜中の零時ぐらいになりますと、ザーと生臭い風が吹いてきたかと思うと、爛々と目を光らせた大蛇が現われ、長い舌をペロペロ出しながら河童の子を捜しています。これを見た金丸は「おのれ大蛇め」と大きな刀を引き抜いて大蛇に切りつけました。不意を突かれた大蛇は、金丸に立ち向かう暇もなく切り殺されてしまいました。こうして河童は助けられ、金丸に厚い礼を述べて、「助けていただいたお礼に何か差し上げたいと思いますが、何がよろしいでしょうか。何でも欲しいものを言ってください」すると金丸は「わしは何も礼はいらん。ただこれから後は、わしの子供たちが水泳するときには、決して悪さをしてはならんぞ」と申しました。河童は「決して貴方の子孫の方に悪さはしません」と誓いました。今でも門川町の子供たちは川で水泳をするときは、「金丸一党じゃ、悪さをしやんな」といって川に入ると決して河童に引き込まれておぼれることは無いといわれています。

日向ものしり帳(石川恒太郎著)

中山神社

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